投稿小説 みんなの珍芸お義姉ちゃん 1







僕(仮名:優太)には10歳上のお義姉ちゃんがいる。

僕が5歳の時にお母さんが亡くなって、その4年後にお父さんが再婚した。その相手の連れ子がお義姉ちゃんだった。

メッシュの入った長くて鮮やかな茶髪。目鼻立ちのくっきりした気が強そうな顔。

人見知りの僕はすっかり委縮してしまって、初めて会った時はうまく話せずにモジモジしていたんだけれど、いっしょに暮らしてみるとすごく優しい人だった。

面倒見がよくて、友達の少ない僕とよく遊んでくれた。勉強でわからないところがあったら教えてもらっていたし、逆上がりの練習を見てもらったこともある。

お義姉ちゃんはただ甘やかすだけじゃなくて、僕が間違ったことや行儀の悪いことをしたときはしっかりと叱った。当時すでに大学生だったことを考慮しても、とてもよくできた大人だったように思う。後でお父さんに聞いた話によると、大学でも成績優秀で、所属していた軽音サークルでは中心的な存在だったんだとか。

僕はそんなお義姉ちゃんが大好きだった。今思うと、初恋だったのかもしれない。





お父さんが再婚してから3年。当時小学6年生の僕は、内気な性格のせいで同級生からひどいいじめを受けていた。

持ち物を隠される、プロレス技をかけられるなんてのは序の口で、放課後になると裸に剥かれて教室で踊らされたり、女子の前で無理やり自慰行為をさせられたりした。

抵抗を試みたこともあった。しかし、運動の苦手な僕が身体の大きなガキ大将たちに勝てるわけもなく、あっさりと制圧されてしまった。その日は逆らった罰として、フルチンでの一発芸を十個も披露させられた。

やっとの思いで一発芸地獄を終えて解放される前に、いじめを主導していた女子は言った。

「優太くん。次逆らったら、クラス全員の前でやってもらうからね」



あまりに悔しくて、その日は泣きながら帰路に就いていた。

このままずっと僕はあいつらの奴隷なのか。いい加減大人に相談しなきゃいけないんじゃないか。でも、お父さんには知られたくない。お母さんを亡くしたお父さんに、これ以上家族のことで心労をかけたくはない。いったいどうしたら…。

思いつめていると、聞き慣れた声が飛び込んできた。

「優太!?どうしたの!?」

「あ……お義姉ちゃん…」

「泣いてるじゃない…!なにがあったの!?」

大学から帰る途中のお義姉ちゃんと鉢合わせてしまった。僕はいじめがバレないように家族の前では努めて明るく振舞っていたけれど、この時ばかりは取り繕う余裕もなく、声をあげて泣いてしまった。

いっしょに近くの公園のベンチに座り、お義姉ちゃんにすべてを話した。

「…今までつらかったわね。後は任せて」

お義姉ちゃんはそう言うと、そっと抱きしめてくれた。

「私が明日そいつらと直接話して、全部やめさせてあげる。優太にちゃんと謝らせるわ。こんなこと絶対許せない」

強い意志を感じさせる眼差し。ああ…やっとこれで終わるんだ。そう思うと、安心感からまた涙が溢れてきた。

「もう、そんなに泣かないの。男の子でしょ?シャキッとしなさい」

キツめの口調とは裏腹に、その顔は優しく微笑んでいる。

僕の自慢のお義姉ちゃん。この人ならあんないじめっ子たちになんて負けないんだろうな。

僕は当然のようにそう思っていた。







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