投稿小説 みんなの珍芸お義姉ちゃん 5







【珍芸お義姉ちゃんの目撃談・その1】

それは、私(仮名:加奈)が五限目の授業を終えて、トイレに行ったときのことでした。

用を済ませて手を洗っていると、後ろから声をかけられました。

「あ、あの。ちょっといいですか?」

振り返って見てみると、そこには知らない女性が、少しぎこちない笑みを浮かべて立っていました。

腰のあたりまで伸ばした明るい茶髪に、海外の女優さんみたいによく通った鼻筋、ぱっちりとした二重瞼。

カジュアルな服装もよく似合っていて、同性の私から見ても「素敵だな」と思うような、大人っぽい女性でした。

「はい。なんでしょう?」

「ちょっと見てもらいたいものがあるんですけど」

「見てもらいたいもの、ですか…?」

「すぐに終わりますから。お願いしますっ」

ぺこりと頭を下げる茶髪の女性。

初対面の私に見せたいものとはなんだろうか。

そう不思議に思っていると、なんとその女性は、履いていたデニムのスカートをいきなり脱ぎ捨てました。

「えっ!?」

呆気に取られていると、女性はショーツまで下ろしてお尻をこちらへ向け、よく通る声で叫び始めました。

「け、ケツだけ星人〜!!ブリブリブリブリ〜〜〜!!!」

両手をバタバタと上下に動かしながら、ガニ股で左右にちょこまかと移動する女性。

「ブリブリ〜!!ブリブリブリブリ〜〜〜!!!」

それは、某子供向けアニメの主人公がよく披露していたポーズと掛け声でした。

なぜ目の前の大人っぽい女性が、あんな下品なアニメの芸をトイレで再現しているのか。

私は状況をうまく飲み込めず、沈黙するしかありませんでした。

「ブリブリブリブリブリ〜〜〜!!!」

時間としては1分程度だったはずですが、体感では何分にも長く思えました。

女性は突然ぴたりと動きを止め、そのままの姿勢で、顔だけ振り返るようにこちらを向きました。

「ご、ごめんなさいね。見苦しいものをお見せして…」

その顔は耳まで真っ赤になっていました。

よく見ると、うっすら涙目にもなっているようです。

どうしてそんな恥ずかしい思いをしてまでこんなことを…?私が答えに窮していると、女性はニッコリと不自然なくらいの笑みを浮かべて、また叫び始めました。

「珍芸お義姉ちゃんのケツだけ星人を見てくれてありがとう!!これは心ばかりのプレゼントで〜す!!」

そう言いながらお尻の穴の付近に右手をもっていき、なんとそこに生えていた毛を一気に何本か引き抜きました。

「い゛っっ……!!」

痛みで小さな悲鳴を上げる女性。

いったい私は何を見せられているのか…呆然としていると、女性は私と向かい合って、右手を差し出してこう言いました。

「わ、私のくっさいケツ毛を…あげちゃいますっ」

顔をこれでもかというくらい紅潮させながら、笑顔でお尻の毛を渡そうとしてくる女性。

恥ずかしさのせいか、語気が強まっています。

異常な光景の連続でフリーズしていた私も、ようやく目の前の女性がおぞましい変質者だということに気が付きました。

「や、やめてください!気持ち悪い!」

手を払いのけ、距離を取る私。

「あなた、頭おかしいんじゃないですか!?非常識です!!」

変態行為に付き合わされそうになった嫌悪感からそう罵倒すると、急いでトイレから脱出しました。

万が一追いかけてこられても困るので、そのまま全力で人目の多い図書館まで走りました。

まさかうちの大学に変質者が出没するなんて…。

しばらくはあそこの女子トイレを使わないように、友人や後輩にも言っておく必要がありますね。






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